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雨の帰り道

第4章 誕生日


(とはいえ、どうすれば良いんだろう。女子力をあげる?
イメチェンするとか?イメチェンはむりそうだなぁ。)

「光里ちゃん、どうしたの?」
「わ、吉川さん!」

今はバイト中。
バイト先の書店の先輩で、同じ大学に通う吉川悟が光里に声をかけていた。
「なんでもないです。すみません、ぼーっとしちゃって。」
「ううん、大丈夫。夏バテかな?きをつけてね。」
「はい。すみません。」

(あーあ、やっちゃった。)
「悩みがあるなら、俺でよければ聞くけど。」
「大丈夫です。」

今日のシフトは光里と吉川の2人だ。
大体は店主のおじちゃん、おばちゃん、吉川さん、光里の4人が2人で出ている。
光里はおばちゃんやおじちゃんと一緒の時もあればこうして吉川と一緒の時もあった。

今日は雨のせいか客が全く来ない。
(ここの経営、大丈夫なのかな。)
晴れの日はたくさんのお客さんが入っているので心配はないだろうが。

「お疲れ様。今日はずーっと悩み事してたね。」
「す、すみません。」
店を閉める時間になり、2人で外に出る。

この辺は自営業の人が多いからなのか、
少し遠くまで会社に行っているサラリーマンは都会の方が本があるからなのか
夜遅くに来る客はほとんどいない。
そのため、店は18時位には閉まってしまう。

(本当に、あれで生活できているのかな。)
こんな調子なので光里が高校生の時にはあの夫婦は副業で稼いでいるなんて噂もあった。

「これでも飲んで元気出して。」
吉川がサイダーの缶を差し出していた。

吉川は気配りが上手く、容姿もそこそこ整っているので女子にモテる。
それなのに彼女が居ないのは吉川が足フェチの変態だからというのを光里は知っていた。
ほかの人には隠しているが、度々本を並べている時に雑誌の表紙
をかざるアイドルの足を批評しているところを何度も見ていた。

「ありがとうございます。」
光里は礼を言って吉川と別れた。
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