第4章 誕生日
「誕生日はお友達とどっか行くの?」
確か8日は土曜だったはず。
「いえ。部活やって帰ります。」
「そうなんだ。」
「えっと、寄ってもいいですか?」
「うん、良いよ!一緒にお昼食べて、そうだな。
ろくなことできないけどどうする?ゲームでもする?」
「良いんですか?」
光里は出会った時に聞いた話を思い出した。
母親は亡くなっていて、父親は海外、と。
(ゲームとか、やらないんだろうな。)
「よし、私強いからね。」
「そうなんですか、すごいですね。」
(こういう事が素直に言えるのも魅力の1つだよね。)
光里はため息をつく。
「どうかしましたか?」
「あ、ううん、なんでもないの!大丈夫。」
「そう、ですか。」
その後、玄関まで圭祐を送ってから光里は呟いた。
「誕生日か。」
思い出してしまったのだ。光里は今19。次の誕生日で20になる。
次の誕生日。つまり、あと4ヶ月後には。
光里はスマホで調べはじめた。
(お互いの同意がある真剣交際なら罪にはならない、か。
それでも、未成年を部屋にあげるのはまずいよな。)
真剣交際なら問題はない、ならば交際してない状態で部屋にあげるのはまずかろう。
タイムリミットは11月。それまでにこの関係性を終わらせるしかなかった。
付き合うか、一緒に食事をやめるか。
(そんなの、決まってる。)
一緒に居たいから、振り向かせる。どんなに困難でも。
ただ、圭祐には好きな人が居ると言っていた。
なので出来ないかもしれない。
(頑張る。精一杯。)
この日から〈圭祐を振り向かせよう大作戦〉が始まった。