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雨の帰り道

第4章 誕生日


コンクールから1カ月と少し、太郎を拾ってからは2ヶ月が過ぎようとしていた。
光里は圭祐への気持ちを隠したまま、一緒に食事をとっている。
好きかどうかは置いておいても2人で食べるご飯は美味しい。
今日も2人でご飯を食べていた。

「あ、そのキーホルダー可愛いね。どうしたの?」
「あ、多田くんに貰ったんです。」
あとで判明したことだが、あのコンクールの日に圭祐と親しげにしていた男子生徒は
多田君という名前らしい。

「7月の8です。」
今は7月4日。
「もうすぐだね、おめでとう。」
「ありがとうございます。」

「ところで的羽さんはいつなんですか?」
「誕生日?11月だよ。」
「11月ですか。まだまだですね。」
「うん、そうだね。」

「じゃあ誕生日プレゼント何がいい?」
「そんな!大丈夫です。」
「まだ和泉君高校生だもん。へいきだよ。私は大人だし。」
半分は自分に言い聞かせる意味合いも含んでいる。
圭祐は高校生なんだぞ、と。
それを考えると少し憂鬱になる。暗くなった心境を悟られないようにした。

「あ、でも好きな子いるんでしょ。誤解されちゃったら大変か。」
“好きな子がいる”とコンクールの前に言っていた。
きっとあの、萩原さんのことだろうと光里は思っている。

「問題ありません。」
(やっぱり、恋愛対象じゃないから、かなぁ。)
ここ1ヶ月半位光里は酷く弱気になっている。
なんでもネガティブに捉えてしまう。
(ストップ、ネガティブ。ダメ、絶対。)
心の中で唱えた。
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