第3章 コンクール
「的羽さん!」
コンクールが終わった後、光里は帰ろうと会場のロビーにいた。
圭祐は光里を見つけるとすぐさま駆け寄ってきた。
「和泉君!お疲れ様。演奏、すごかったね。」
「ありがとうございます。」
光里は言って良いものか一瞬悩んだが言うことにした。
「綺麗だった。すごくカッコよかったよ。」
すると圭祐は耳まで真っ赤になって小声で
「ありがとう、ございます。」
と呟いた。
その時、圭祐と同年代と思われる男子生徒が圭祐に話しかけてきた。
「お疲れー。圭祐なんか今日気合い入ってたな。」
「え!?そんな事、ないよ。」
「でも今回銀賞取れたなー。」
圭祐の高校は銀賞をとった。
「うん。良かった。」
「って、あ、こんにちは。」
男子生徒は今光里に気づいたようで挨拶をしてきた。
「こんにちは。」
光里も笑顔で挨拶をかえす。
「姉さん?」
男子生徒が圭祐に小声で尋ねる。
「違うよ。とってもお世話になってる人。」
とってもお世話になっている人、と言われるとなんだか照れくさい。
そのうち男子生徒は行ってしまったが、今度は後輩と思しき女子生徒が近づいてきた。