第2章 皆が悩むWhiteDay
〈 姫次 凌 side episode 〉
『良かったら、これ。
バレンタインのお返しです。』
「凌様......!
ほ、本当にいいんでしょうか...?」
『もちろんですよ。
ずっと貴方のことを探していたのですから。
受け取って頂けない方が、
僕としては悲しいかな。』
「そ、そんなぁ...!
私なんかにこんな風に優しくお声をかけて頂いて...
もう、もう、私...!
あぁああ、私どうすれば...!」
『ふふっ、照れて狼狽える君も可愛いな。
それに、私“なんか“、なんて言わないでください。
貴方はとても、素敵な女性ですよ。』
「は、はああぁぁあ...し、凌様ぁあ...っ♡♡」
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『ふー、やっと全部渡し終えた...。』
紙袋に山盛り入っていたメイドたちへのお返しを
やっと全て渡し終え
ぐーっと背伸びをして
体の疲れを少しだけ癒す。
『まったく...。
馬鹿なメイド共と話すと疲れるな...。
まぁでも、適当に甘い言葉を返しておくだけで
満足するからある意味ラクか。
ほんっとチョロい女共だな...。
......さて、早く月臣に
会いに行かないといけないんだけど...。
まだ1番の大本命が残ってるから、
もう少しだけ仕事の話は後回しにして...』
凌はきょろきょろと辺りを見回しながら
廊下を歩く。
(......こんだけ探してるのに
会えないってことは......うーん...
とりあえず、
めるちゃんのお部屋にでも行ってみるか)
もう1度ぐーっと背伸びをすると、
めるの部屋にむかって
凌は足早に歩き出した。