第2章 皆が悩むWhiteDay
〈 時環 月臣 side episode 〉
『はぁ.........』
月臣は自室で、凌のことを待ちながら
たまっている仕事を消化していた。
『......あいつ…
一体いつまでお返しを配っている気だ...?
もう結構な時間が経っているぞ...』
重要な書類に目を通しているのに、
どうも頭が思うように働かず
月臣はイライラと指で小刻みに机を叩く。
『.........はぁ...。
......バレンタインのお返し、か...』
呟くと、なぜかめるの顔が頭に浮かんで
月臣はぴくりと眉をしかめる。
『......なんであいつの顔が...。
ちっ...なんでご主人様がメイドなんぞに
お返しをしなきゃいけねーんだ...
はぁ...普通に考えて、おかしいだろ...。』
おかしい。おかしい...はずなのに...
(凌はあいつにホワイトデーを渡す、なんて言っていたな......。
しかも、貰ってもいないのに。
なら、義理だろうがなんだろうが、もらった俺がなにもしないというのはかなり......)
『あいつにマイナスな印象を植え付けーー』
つい、ぼそりと出てきた自分の言葉に、
月臣ははっとして口を噤む。
『......俺は一体、何を考えているんだ......』
はぁーっと、深いため息をついて
彼は頭を抱えながら、再び書類に向き直った。