第2章 皆が悩むWhiteDay
〈 時環 雪臣 side episode 〉
『うーん......』
(なにかお礼の品を探さなきゃと思って
とりあえず街に出てみたけど...)
雪臣は1人、
ホワイトデーらしく煌びやかに飾られた
ショップのウィンドウを眺める。
『......やっぱり、こういうのは
...よく、わからないな.........』
一体どんなものが無難なのだろう、と
沢山のショップの目の前を
うろうろと往生する。
(......めるさんは、何が好きなんだろう...。
...考えてみたら俺、彼女のこと
本当に何も知らないんだな......)
無難も何も、情報が皆無すぎて
何もいい案が浮かばす、
雪臣は小さく息をつく。
『...はぁ、困ったなぁ...。』
そう呟いた時、
店の店員らしき人が
笑顔で声をかけてきた。
「いらっしゃいませ!
プレゼントをお探し中ですか?」
いきなりのその声に
雪臣はおどろき、びくりと肩を揺らす。
『...っえ!......あ、は...はい...。』
「でしたら、こちらのネックレスなんて如何ですか?
最近はホワイトデーに、
形の残るプレゼントを贈る方も増えているんですよ。」
『......なるほど...形に残る、か...。』
「はい!きっと喜ばれると思いますよ!
彼女さんも!」
『ありがとうございます。
...ちょっとこの辺り、
見させて頂いてもいいですか?』
「はい!何かございましたら、
お気軽にお声かけください。」
店員はぺこり、と頭を下げ
別のお客さんの場所へとうつる。
雪臣は勧められたネックレスのコーナーに
視線を落とすと、なにか違和感を感じ
体の動きを止めた。
「.........あ」
すると、その“なにか”に気づいた雪臣は
みるみるうちに耳が真っ赤に染まっていく。
いつもの無表情が崩れそうになり、
咄嗟に顔を手で覆い、ぽつりと呟いた。
『.........彼女じゃ...ない、です...』