第3章 皆が頑張るWhiteDay
〈 時環 月臣 side episode 〉
『............なんだ...これは...』
待てど暮らせど凌はやって来ず、
喉が渇いたのでキッチンに来ていた月臣は
“その”惨状に頬を引き攣らせる。
『どうしてキッチンが、
こんなゴミ溜めの山になっているんだ......
一体誰が...いや、大体想像つくな......』
大きな溜め息をつきながら
とりあえず水を飲む。
(...それにしても、これを見る限り、
やはり皆あいつにお返しをしようと行動している...ということだろうな......)
『............』
そんなことを考え、
暫くフリーズすると、月臣ははっとする。
『いや!だからどうして俺がそんなことを気にしなきゃいけねぇんだ...!』
心底不機嫌そうに頭をガシガシとかく。
『はぁ......』
(だが.........あれだな...。
凌を待っていても、
全然あいつはやって来ないし...
どうせ待ってる時間があるのなら......)
月臣は腕組みをし、ツンと顎を汲む。
『ふん、凌を待ってる間の...ただの暇潰しだ。
たまには気まぐれに
メイドを喜ばせてやるのも悪くはないだろう。』
不機嫌そうな声のトーンとは裏腹に、
どこか楽しげに口角をあげた月臣は
少し軽い足取りで台所を後にした。