第8章 I am a girl
轟は怒りに身を任せ、体に炎をまとった。
爆破を起こすことで体を回転させながら、爆豪が突っ込んでくる
その姿はまるでミサイルのようだった。
轟も、左手で攻撃を迎え撃とうとしたその時…
様々なことが走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
その、母親の顔はいつだって泣いている……
この炎は使ってはいけない…使ってはいけない…
汚い…醜い…醜い…醜い…
ーーーお前の左側が、醜い…
ーーーあの子の左側が……日に日にあの人に似ていく…
ーーーもう、育てちゃダメなの!
ーーーお前は最高傑作なんだぞ
ーーー轟くんは、轟くんのペースでいいんじゃないかな?
ーーー君の、力じゃないか!
わからない、何が正しいかわからない……
やはり、あいつの個性で勝ったとして
俺はその勝利を喜ぶことなんてできない
まだ何も、清算できていない…。
くるみは…
あいつは、なんでこいつの事が好きなんだろう
俺だったらよかったのに…
爆豪の攻撃を受け、体が弾き飛ばされた。
遠くで、くるみの声が聞こえる。
ほら、やっぱりな、
こんなに離れてても、お前の声だけが俺に届くような気がする。
ーーー爆豪…確かに、くるみはお前の事が好きだ。
でも、多分あいつの【運命】は俺だ……。