第8章 I am a girl
くるみが席に座ると、決勝戦に勝ち進んだ二人……
爆豪勝己と轟焦凍がリンクに立っていた。
『轟くん……爆豪くん』
「ねぇ、どっちの応援するの?」
レイナに言われてくるみはううん…と眉をしかめた
『ど、どっちも!』
「ええ?」
『だって、どっちも優勝してほしい…!』
半分泣きそうになりながら、
くるみはレイナから受け取ったぬいぐるみを抱きしめる。
「そりゃ…無理な話だよ?」
『うう……でも、轟くんと約束したの…轟くんを応援するって
でも、爆豪くんには、俺以外応援するなって…』
「はあ?!」
「はえ!?」
そういった途端、2人は身を乗り出してくるみの顔を覗き込んだ。
なぜ二人がおどろいてのかわからないと、くるみは頭の上に大きな疑問符を浮かべる。
そんな彼女に二人は肩を落としてため息を吐いた。
「それ、爆豪さんが言ったの?」
『え、あ、うん…さっき…』
「もうそれ、好かれてるじゃん…」
「だよね」
『え!いやいやいや!嫌いって言われてるもん!
ただ単に、爆豪くんのこと好き好き言ってるくせに、ほかの人応援してることが嫌だっただけだと思う…
他のアルファに媚び売るなって言われたし…』
さみしげに笑って、リンクの上の爆豪を見つめるくるみは、それ以上なにも言わなかった。