第8章 I am a girl
氷で爆風に飛ばされないよう身を守っていた轟が、氷の中から立ち上がった。
「近づくなってか……」
その体には薄く霜が降りている。
唇から吐かれる息も、白く、明らかに体が冷却しているようだ。
それに気づいた緑谷は悔しげに顔を歪める。
ここに来て分かった轟の弱点…
激しい冷却にその体そのものも耐えきれないんだろう。
だが、それは、左の個性…炎を使えば、解消できるはず、それなのに…。
「ありがとな、緑谷
おかげで奴の顔が曇った」
轟は冷たい視線を、エンデヴァーに向け睨みつける。
エンデヴァーはここまで頑なに、氷の個性のみを使っている轟を顔を顰めて見下ろしていた。
「その両手じゃ戦えねぇだろ
終わりにしよう」
また緑谷目掛けて攻め来る氷結…
だが、その氷結に大穴が開いた。
「どこ…見てるんだ!!!!!」
轟は油断していたのか、ボーダーラインギリギリまで押し付けられる。が、ギリギリのところで、大きな氷柱を作り、背中を差し止めた。
「僕はまだ…君に傷一つつけられちゃいないぞ…
全力で…!!! かかってこい!!!」
緑谷の握りしめた拳は、紫を通り越して、茶色く焦げ付いているような色に変色している。