第8章 I am a girl
《第二回戦‼︎第一試合‼︎
両者トップクラスの成績…!
緑谷ーーーーーー!!!!!
VS
轟ィーーーーーーー!!!!!》
湧き上がる歓声…。
未だ個性を見せていない緑谷と、頑なに氷個性のみを使う火炎ヒーローエンデヴァーの息子。
皆期待に胸を膨らませる。
「そろそろ火も使うかな!?」
エミリが興奮気味にくるみに言うが、くるみは
『どうだろう…』と苦笑いを浮かべた。
《スターーーーーート‼︎‼︎!》
そのコールと同時、繰り出される氷結と氷柱。
緑谷は右手を突き出し、指を弾く。
たった一本の指運動で生み出された爆風は、観客席にまで強い風を起こし、氷の柱が砕け、会場は冷風包まれた。
「うわ!」
『冷たい…!』
そんな無茶苦茶な攻撃が五回続くと、レイナが緑谷を指差して悲鳴をあげた。
「みて、あのモジャ毛のひと…!右手…!」
「なにあれ…紫に鬱血してる…?!」
くるみも緑谷の右手を凝視して口元を押さえた。
指がボロボロになって赤紫に腫れている。
体に見合わない100%の個性で轟に対抗している結果だ。
轟は緑谷が痛みに悶えているあいだに氷の橋を作り、その上を走って接近した。
今度は左手の薬指が犠牲となって、氷の柱を壊したが、間合いを詰められた緑谷の足を、轟の氷結が捕まえる。
焦った緑谷は、思わず、左手の拳で足にまとわりつく氷結を崩した。
このせいで左手は全滅…
もうあとが無い。
「左手も……なにあの個性…」
『体に、個性がハマってないんだ……』
「そんな事って…」
生唾を飲むレイナ、こんな個性は見たことがない。