第7章 I am having fun
「見てから反応してる…」
「なんつー瞬発力…
触れねぇと個性発動できねー麗日の個性…
爆豪の反応速度じゃ部がわりぃぞ…」
何度も何度も、諦めず、それしか手段がないと突っ込んでいく麗日。
トーナメント会場をえぐるほどの爆破を受け、吹き飛ばされても尚、爆豪に飛びかかる。
「もう私見てられないよ…」
耳郎が両手で顔を抑え、目を塞ぐ。
見ているだけでゾッとしてしまう、明らかな力の差。
一方的な暴力にも見えるそれを、くるみは固唾を飲んで見守った。
「なぁ…くるみちゃん、大丈夫か?」
あまりの光景に上鳴がくるみの肩を叩く。
くるみはハッと顔を上げ、濡れた瞳で上鳴を見つめた。
泣き掛けの顔で、くるみは俯くと
『うん…』とうなづくだけの返事をする。
「さすがに…やりすぎだよな」
『ん…やりすぎ…だよね…』
「くるみちゃん…泣いてるぞ?
どうした?怖い?」
くるみは顔をぬいぐるみに埋めて隠すとフルフル首を振った。
『ちがう…ごめん…ただ
なんか…変なんだけど、あの子が羨ましくて…』
「は?」
『爆豪くんに、あんなに向き合ってもらってる…
実力を認められて、警戒されてるんだよね…
すごいな……
どんな形でも…あんなに意識してもらえるの、いいなって思っちゃってる…』
くるみは麗日にヤキモチを妬いているようで
あまりの想像を絶する発言に、上鳴は苦笑うことしかできなかった。
「くるみちゃんは、さ。
爆豪と恋人になりてぇんだろ?」
『え…あ……うん…』
くるみはぬいぐるみから顔を上げて頬を染めると頷いた。
「なら気にしなくていいと思うぞ
ってか、恋人になりてぇなら、ライバル目指してたらダメだろ」
くるみは『あ…そっか…』と呟いて、またトーナメント場を見つめた。
『でも…やっばあの子すごいや…』