第7章 I am having fun
「そんな顔すんな…」
轟はくるみの頬を指で撫でると、くるみはくすぐったげに微笑む。
『ん、
ごめん…轟くん、精神統一中だったね…邪魔しちゃった
頑張ってね、応援してるから』
去ろうとしたくるみが引きとめられ、
掴まれた腕を見つめる。
そして、その腕を掴む男を見つめて首をかしげた。
『轟くん?』
「…応援、聞こえてた……騎馬戦の時」
『え…』
「くるみの声だけ…やけにはっきり聞こえた。
あの歓声の中で…お前の声だけが俺の耳に届いてた…」
轟の瞳が持ち上がって、くるみを見つめる。
くるみはその目に囚われ動かなくなったのか、ただまっすぐに轟を見つめ返した。
「【運命】のオメガの鳴き声は…他のオメガと間違えねぇように聞こえやすいって本で読んだ……」
『轟…くん……』
轟の腕がくるみの体を支えていた大木に触れ
ふたりの距離が狭まる…。
革首輪で守られたくるみの首元に、轟の唇が差し迫った。
「もし……
俺が【運命】のアルファだったら……どうする?」