第6章 I am so cold
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1位をとったというのに、轟は悔しげに顔を顰め俯いている。
くるみは心配そうにその姿を見つめていたのだが、レイナに肩を叩かれ顔を上げた。
「ご飯、行こ?」
「早くしないと食堂混んじゃうよぉ〜」
『あ…うん!』
レイナとエミリに付いて、くるみは食堂に向かおうと廊下をそぞろ歩く。
階段に差し掛かったところで、曲がると
ドン!と大きな音がしてくるみは尻餅をついてしまった。
『った…』
「くるみ、大丈夫?」
『あ…うん、す、すみません!
よく見てなく…て…』
立ち上がりながら前を見ると、そこに立っていたのはエンデヴァー
「エンデ…ヴァー!」
レイナが小さく呟くと、エンデヴァーの火が少し強まり揺らめく。
「あ、あの…あの!
私、エンデヴァーのファンで…!」
エミリがエンデヴァーの前に躍り出て握手を求める。
エンデヴァーは「そうか」とだけ答え、エミリの手を握ると、エミリは「うはぁぁ、ありがとうございます!」と歓喜した。
「あ…息子さん。轟くん、一位おめでとうございまーす。」
エンデヴァーが思ったよりも怖くないと思ったのか、レイナが話しかけると、エンデヴァーはレイナの方に視線を移した。
「…なんだ、焦凍のクラスメイトか」
「いえ、違うんですけど
この子が轟くんと仲良くて!」
『ちょ…レイナ…』
後ろで縮こまっていたというのに引っ張り出され、くるみは俯いた。
その首元に巻かれたオメガの象徴である、革首輪にエンデヴァーは顔をしかめる。
エンデヴァーは何も言わず、三人の横を通り過ぎるとそのまま廊下を進んで行った。
「あれ…言ったらダメだったのかな…」
『あ…、んー…どうだろ?』
くるみはヘラっと笑う。
「にしても、轟さんと全然似てないなぁ」
『轟くんは、お母さんに似てるんだってー』
「へぇ、じゃあ美人だ」
「やるね、エンデヴァー」