第6章 I am so cold
オメガのフェロモンは、アルファほどではないが、ベータにも十分に効いてしまう。
だがアルファとでないと、つがえないオメガは、ベータを悪戯に誘惑だけする悪しき存在として、
第一、二世代の頃は隔離や嫌悪されたと言う…。
第三世代頃からフェロモンを抑えるためのピルや、発情期(ヒート)時の抑制剤などがうまれ
発情期を迎えたオメガでも、普通の人とさして変わらず生活することができるようになった。
それでも、常に襲われる危険性から身を守るため、オメガ専用の学校や会社に勤めるものも少なくはない
…と言うより、やはり他より劣っている存在であるオメガは、アルファやベータの通う学校に学力的に届かないことが多い。
現に、今年の雄英高校入学者の中でオメガ性は、縫井くるみと、緑谷出久だけだ…。
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男に別れを告げ、くるみが自分の席に戻ろうと、廊下を戻れば、
客席はけたたましい歓声が上がっている。
暗い廊下から出てきた、眩しさになれない瞳を開けると
目の前に舞い上がる爆豪勝己が目に入った。
「調子乗ってんじゃねーぞ!!!!!
クソがァァァァ!!!!!」
『爆豪…くん……!』
ダークシャドーと爆破が弾け、爆豪のバランスが崩れたが
その肩に地上から伸びてきたテープのようなものが張り付き、引き戻され騎馬に戻る。
その後を目で追いながら、くるみは急いで席に戻ると、エミリに
『今どうなってるの!?爆豪くんは!?』
と食い気味に聞いてきた。
「あ!おかえり!爆豪勝己すごかったんだよ!空飛んで!」
エミリは興奮気味にくるみに現状を説明した。