第1章 I am loving you
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入学式の翌日、爆豪が大食堂で並んでいると
『爆豪くんっ!』
と、名前を呼ぶだけでいっぱいいっぱいだ、というような声がして
振り向けばくるみと名乗っていた女が爆豪を見つめて立っている。
「あ!くるみちゃんじゃん?」
学食の列に並んでいる上鳴がわざわざ列を抜け出して、女に駆け寄った
『上鳴くん、久しぶり』
くるみは愛想のいい笑顔を上鳴に向けて挨拶を返す
上鳴に対しては割と砕けて笑うが、向き直った爆豪にはへにゃりと難しそうに笑った
「おー!久しぶり
…てか、爆豪とも知り合いだったんだな」
爆豪に指先を向けながら笑う上鳴に、爆豪は顔をしかめる
「知り合いじゃねぇ
んだよ、馴れ馴れしく話しかけんなって言っただろうが」
『ごめん…
でも、ちょっとだけ…いいかな』
「ちょ…おま、離せ!」
くるみは強引に爆豪の手を掴むと食堂の外に向かって歩き出す。
簡単に振りほどける小さな手、それなのに振りほどくことが出来なかったのは、細い指先が震えていたから…
そして、目の前を歩く彼女の耳先が真っ赤に染まっていたからだ。
爆豪は文句を言う口を止めて、ただ引かれるがままにくるみについて行った。