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【ヒロアカ】アイアム!【オメガバ】

第1章 I am loving you



校舎裏の桜はソメイヨシノ
少し早く咲いた花は、もう少し葉が混じっている。

『…ごめんね、いきなり』

真っ赤に染まった頬のまま、振り返ると
握っていた手をパッと離した。
恥ずかしいのか、指先をモジモジと弄ぶと、じっと爆豪の顔を見つめる。


「んだよ…
なんか用があんだろうが
さっさと済ませろや」


『あ…うん、そうだね』

くるみは焦ったようにポケットを探ると、綺麗に包装された袋を取り出す。

『あの、これネクタイ。
昨日は…ありがとう

あのネクタイ血がついちゃったから、新しいの買ってきたの』



両手で差し出すくるみ


潤んだ瞳は、やはりガラス玉のように澄んでいて、木漏れ日を反射してキラキラと光った








「……いらねぇ」


『え…』

差し出される袋を受け取るそぶりも見せずに、爆豪はポケットに両手を突っ込んだまま去ろうとする。



そんな男にくるみは焦った表情を見せて、爆豪を追いかけると腕を掴んだ





『あ、の…!』
「まだなんかあんのかよ」


心底面倒くさそうに睨みつける爆豪の視線に、くるみは気弱そうに眉をたれ下げた。


「…なんかあんならさっさとしろ」

なんだかんだ言ってもヒーロー志望のこの男は
盛大に舌打ちこそしたものの、腕を振りほどいてくるみに向き直る。



くるみは、これ以上赤くできないだろうと言うほどに
頬を染めて握っていたネクタイをギュッとさらに強く握りしめた






『あの…



爆豪くん、えっと……』















『爆豪くんが好きです!』


















桜色の唇からこぼれた言葉は愛を告げるもので

その言葉の切れ端を模したような形の花びらが

一斉に舞う四月の初旬。







「…あ?何言ってんだテメェ、寝言は寝ていえ
俺がオメガのテメェなんか相手にするか、バァカ」


と吐き捨てられ一人残された少女と






その二人を見ていた少年











これは、ヒーローを目指す少年少女が
不毛な一方通行の恋愛をする物語


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