第5章 I am weak
「選手代表!!一年A組、爆豪勝己!」
選手宣誓に選ばれた爆豪が、どよめく生徒の中を縫って
前の宣誓台に上がる。
キィィン…とマイクの音がして、あたりが静かになると。
爆豪はポケットに両手を突っ込んだまま斜に構えて前を向いた。
あたりの音が一気に無くなる…。
生徒達が息を呑む中、爆豪はゆっくりと口を開き
「俺が1位になる」
そう言い捨てた。
A組生徒がため息を吐き肩を落とす中、別クラスからは当たり前のように起きるブーイング。
爆豪はあろうかとか、彼らにむかって振り返ると、
親指を下にするジェスチャーを向け
「せいぜいハネのいい踏み台になってくれよ」
と煽る。
その姿を見て、くるみは目の前のエミリのジャージを掴んだ。
『ーーーーーー♡♡♡』
「ハイハイ、わかったわかった…かっこいいのね」
『すごくない!?この状況で言ってのけちゃうの!
自信?!すごい、男らしくてカッコいい!!!』
ジタバタと悶えて、ぬいぐるみに顔を埋めてくるくるみに、
エミリは半ば呆れたようにため息をついた…
ーーーと その時、エミリは爆豪と目があった気がして
「ん?!」
と声を上げる
『ん??どうしたの?』
顔を埋めていたぬいぐるみから、顔を離して覗き込んでくるくるみに、エミリは「いや…」とつぶやいた。
「なんか…いま、爆豪って人
こっち見てたよ?
くるみのこと探してたんじゃない?」
そう言われて、くるみも顔を上げて爆豪を見つめるが、爆豪と視線が合うことはなく…
『…気のせいだよ
爆豪くんが、私のことなんて見てくれるわけないもん…』
くるみは肩を落として小さく笑った。