第5章 I am weak
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《雄英体育祭!
ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!
どうせテメーらアレだろ、こいつらだろ!!?
敵襲撃を受けたにもかかわらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!
ヒーロー科!!
一年!!!
A組だろぉお!!》
プレゼントマイクのけたたましいアナウンスに
A組生徒達がアリーナに現れる。
割れんばかりの歓声が、響き、その声に血が騒いだ。
(ーーー俺が主役だ)
喉を締め付けるような高揚感に、後から切島が声をかけてくる。
「な、なんか…緊張すんな!」
「はッ、ただただアガるわ」
この状況でアガらねぇとか、1位になる気あんのかよ。
どいつもこいつもビビった顔しやがって…
斜め前を歩く半分野郎を見ると、アイツは目を据わらせて何かを探しているかのように観客席を見つめていた。
(…優勝狙ってんのに…俺には何も言ってこなかったってことは…
俺は眼中に無いってことか…)
爆豪は奥歯を噛み締め、轟を睨む。
それはつい先程、A組の待機室で起こった出来事…。
「緑谷…ちょっといいか」
実力的にいえば現時点でNO.1だと思われていた轟から、体力テストでも最下位だった緑谷への声掛けに
クラスメイト達の視線が集まった。
静まり返った室内、
「俺は、お前を倒す…」
轟は緑谷にはっきりそういったのだ。
その宣戦布告は、本来自分にされるべきもの…
優勝を目指してるとすれば、ライバルになり得るのは俺だけだ。
入試一位通過のこの俺のはず…なのに
アルファの轟が宣戦布告の相手として選んだのは、オメガである緑谷だった。
アルファがオメガを敵対視する事など、あり得ない。
アルファは何よりも秀でた存在だからだ。
同じアルファである自分を差し置いて、轟の瞳に映ったのは緑谷出久…。
その事が、爆豪のプライドを傷つけ、轟にさらなる敵対心を産んだ。