第4章 I am hot
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「あんの…クソビッチ…
最近現れねぇと思ったら…
…あれか、新しいアルファ見つけたからって俺は用済みってんか」
爆豪は、手に握った紙コップを握りしめると、中の氷ごと砕いた。
ちなみに、「お前が近寄るなって言ったんじゃ…」とツッこんでくれる者はここには居ない。
爆豪勝己がここにいる理由は、単純に【気になったから】だ。
くるみがデートしていた相手が誰か。それが単純に気になった…。
「しかも…相手はあいつかよ…」
パーテーションの隙間から、見える男はよく知った顔だ。
授業中や教室内では何もかもに冷めきった表情をしているくせに、あの女の前では、人間らしい表情しやがって…
小さく舌打ちをする。
「一回フラれたくれぇで諦めやがって」
何度も言うが、「お前が近寄るなって言ったんだろ」とツッこんでくれる者はここには居ない。
…居ないから厄介だ。
立ち上がる轟を、くるみが引き止めているようだ
その表情は男を誘う女そのもので、それを向けられているわけでもない爆豪まで頬が熱くなる。
二人はその後2.3口話すと、轟はフードコートを後にした。
「……一緒には、帰られねぇのか」
くるみはその後、雑誌を読んだり携帯をいじって一人で過ごして居たのだが、
五分もしないうちに、二人組の男に絡まれてしまう…
『…や、えっと…一人…ですけど…でも』
「俺らアルファだぜ?その首輪、お前オメガなんだろ?」
「かーわい、高一?高一で発情期後とか…エッロ」
『あ、今から帰るんで…』
「てか、その制服雄英じゃん?」
「エリートお嬢様のオメガとか超好みなんすけど」
下品に笑う二人の男、くるみはカバンの中のぬいぐるみをギュッと握った…
が、その時…。
「おい」
二人の男の後ろから声がして、振り返った男は「ひっ…」と小さく悲鳴をあげた。
「…てめーら、あんまダセェ事してっと
しばき殺すぞ、カスモブがぁ」
手の平から生まれる小爆発、そして雄英の制服にナンパ男二人はタジタジと退き、何も対抗する事なく逃げていく
それほどまでに、爆豪から放たれる威圧感と怒気は強烈なものであった。