第4章 I am hot
『…い、いいの?!』
くるみは体を前のめりにして、雑誌を握った。
「あぁ」
『じゃあ、じゃあ…試してみるから
効き目があったら1ポイントちょうだい!』
「そういうシステムで良いのか」
『うん!100ポイント貯まったら、もう一度爆豪くんに告白する』
「そうか」
くるみは嬉しそうに笑うと、また雑誌に夢中になった
「じゃあ、明日からでいいか?
今日は親父が居ねぇから道場で自主練してぇ」
立ち上がると、くるみはパッと轟を見つめる
その瞳はなんとも悲しげに見え…
『行っちゃうの…?』
声色も寂しげに、くるみはそっと轟の袖口を摘んで
座った状態から男を見上げた。
必然的に上目遣いになった瞳はキラキラと揺れ、捨てられた子犬を想わせた。
「っ……////」
轟が赤面すると、くるみは摘んでいた袖口から手を離して両頬を押さえた。
『うわぁ!想像以上に恥ずかしいね!』
「…?」
くるみは照れ笑いしながら首を傾げると、
『どうだった?』
と轟に問いかけた。
『«モテ仕草32番、帰り際にちょっと引き止めてみる»だったんだけど…』
説明されてやっと気がついた。
今のは雑誌に書かれたモテ仕草のひとつであったと。
「あ、あぁ…」
そして、これを試された場合良かったか悪かったか判定をしなくてはいけないわけだが…。
(これはこれで…判定する側も恥ずかしいな…)
それは、ときめいたかどうか伝えなければいけない轟側にも、ハードルの高いものであった。
「よかった。と思う」
轟はくるみから視線を外しながらそう答えると、
くるみは『やった』と小さく笑った。
『あ、ごめんね
急いでるのに引き止めて、またね』
先ほどのは本当にモテ術を試しただけのことだったようで、
1ポイントをゲットしたくるみはヒラヒラと手を振る。
「あぁ、またな」
轟もカバンを肩にかけ直して、フードコートを後にした