第4章 I am hot
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「やっぱり、流石にあきらめた?」
エミリの言葉に顔を上げたくるみ。
『爆豪くんのこと?』
「うん」と頷いたのは、エミリとレイナ
『ううん?諦めてないよ?』
そう言いながらパクッとオムライスを食べる
とろとろの卵がお皿に溢れた。
「えぇ!?」
「わーお」
驚く2人に、くるみはオムライスを食べながら『なんで?』と首を傾げる。
「私らにも爆豪くんの話、しなくなったじゃん?」
『うん』
「爆豪くん見ても飛びつかなくなったじゃん?」
『うん』
「「なんで!?!?」」
身を乗り出す2人にくるみは苦笑いをして、スプーン先で卵をつつく。
『んー……
他に聞いてくれる人が居るし…
それに爆豪くんに近寄るなっていわれたからかなぁ』
「前言ってたヒーロー科の人?」
『そうそう!
あ…ほら、あそこに居る…赤と白の髪色の…』
くるみが視線で、轟の方を指し示す。
蕎麦を運ぶ男は、こちらを見つめる三人に気がついたのか、くるみに向かって小さく手を振る。
そんな轟に手を振り返すくるみを見つめた後、エミリはため息を吐いた。
「誰あのイケメン」
『え、だから轟くん』
「友達なの?」
『うん、友達』
ニコニコと笑うくるみをもう一度見つめて、2人はもう一度ため息を吐く。
「普通さ、爆豪勝己じゃなくてあの人のこと好きになるから。」
『ええ!』
くるみは心底驚いたのか、目をパチクリさせた。
エミリは顔を寄せてニヤリとわらうと
「てか、あの轟って人、くるみのこと好きだったりして」
と声を潜めて言った。
『ないないー。轟くん普通に優しいだけだから』
「無いのー?なら、今度紹介してー」
否定するくるみにレイナが、リップを直しながら頼む。
『いいよ。今度聞いておくね』
そんな女子達の会話は轟の耳には入らず、ただ楽しげに笑うくるみの姿を横目に見つめていた。