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【ヒロアカ】アイアム!【オメガバ】

第4章 I am hot






『……困ったなぁ』

数分の間があって、くるみが呟く。

『好きな理由…沢山あるのに、いざ言葉にしようとすると難しいね』


「そういうもんなのか?」


『んー…、アルファだから好きになったのかどうか分かんない。
一目惚れだったし…。』

また少し考えて、くるみは、『そうだ』と目を輝かせた。


『紅い目が好き』


「目?」


『うん!なんか、よく血走ってて…
あと、すごく人を見下してる感じも好き』


くるみはキラキラとした表情で、身を乗り出して説明する。
頬は赤く染まり、時々、ぽやぁ…っと何かを思い出すような夢見心地な目。




「……そんなに好きなんだな」


『うん!大好き』


その直後、くるみは表情を暗くして
両手で口の端っこを挟むように摘んだ。

唇を無理やり閉じるような仕草に、轟は首をひねる。



『…ダメだよね…好きって…言ったら迷惑なんだった』


しょぼん…と肩を落とすくるみに、轟は胸が締め付けられた。

(爆豪が見てねぇところでも……我慢するつもりなのか…)

健気な姿に、生まれた感情は、爆豪に対する怒りと…ほんの少しの嫉妬。



轟は、くるみの腕を掴むと自分の胸元に引き寄せた。


「…俺の前では、我慢しなくていい」



『轟くん…?』


「俺でいいなら、これからも爆豪の話ししてやるから」




くるみは『いいの?』と何回も何回も確認をして、その度に轟は、「良い」と頷いた。
5回目にして、やっとくるみは笑顔になる。



『ありがとう、轟くん
轟くんと、お友達になれて、本当に良かった』

照れたように立ち上がり、ゴミ箱にミルクティーの缶を捨てながらくるみは轟にそう告げる。

「友達……」


『うん!友達』

轟は初めてその単語を自分に向けられた為か、複雑な気持ちになった。

嬉しいような、何故かもやっとするような…

初めてできた友人は、また『またね!』と手を振って走っていく。
今日も言えなかった「また」を、1人で呟いて、轟は公園を後にした。

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