第31章 I am nothing
また1つ、唇を重ねて死柄木はくるみの首筋に鼻を添わせ、ワンピースの裾から侵入した手で太ももを揉んだ。
「よく似合ってる…」
『ほんとに?』
「あぁ…でも、この首の手…邪魔だな
これじゃ噛めない…」
『…する時は外すよ?』
くるみは死柄木の首元に腕を回し、上目遣いで首をひねった。
「じゃあ外せ…」
『スるの?』
「ヤる、どんだけ我慢させられたと思ってんだ…」
死柄木がくるみを睨むと、くるみはクスクス笑う。
2人は奥の部屋に消え、ドアをきちんと締めもせずくるみを机に押し倒した。
廃工場では愛し合うためのベッド何ぞないし、獣のように求め合う二人に、もはや場所など関係ない…。
冷たい机の上、横たわるくるみの上に死柄木が覆いかぶさった。
後ろ空きのワンピースのジッパーを指先で引いて下ろす
四指で脱がされたワンピースは、軽い音を立てて床に落ちた。
実に、三ヶ月ぶりのくるみの柔肌に、死柄木は打ち震える。
全ては自分の計画の為…
納得して飲み込んだはずの犠牲…
だが、くるみを他の男に抱かせるという行為は、覚悟していたとしても耐え難いものだった。
「自分のモノだけ」では無くなったくるみの体。
だが、それはまだ誰にも抱かれたことがないかのように美しく。
だが、相反して、男を妖艶に誘う艶めかしさがある…。