第31章 I am nothing
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爆豪拉致から三日目…。
ニュースを目の当たりにしてからというもの、爆豪は水さえ口にせず
世話役のコンプレスとトゥワイスはこのまま衰弱死してしまうのではと頭を悩ませていた。
「なぁーもう諦めてヴィランになっちまおうぜ?/諦めんな!」
「貴方は言ってましたよね。
くるみの平穏を守るためにヒーローになると。
ヒーローになると言うことは、それほど愛した女性を殺めなければいけない立場になると言うことですよ?」
つい昨日までは「うっせぇ」や「黙れ」と言った返事が返ってきていたが
今の爆豪は壁に縋って項垂れて座っている動かぬ屍のようで
コンプレス達も肩を竦めてその姿を監視した。
それに対して
愛しい女が戻ってきたとあって、死柄木弔は大変機嫌が良かった。
くるみの髪を撫ぜ、頬にキスを落とし、その体を抱き寄せる。
小さな一人がけ用のソファーで死柄木の膝上に横乗りになって座るくるみ。
周りから見れば完全なバカップルに、マグネは地団駄を踏む。
「ちょっとぉ!私の時と扱いが違うじゃないのぉ!何よあの顔、デレデレしちゃって」
「羨ましい…私もイチャイチャしたいです」
トガも2人を眺めながら、机に突っ伏して足をブラブラ振った。