第30章 I am talking about our past 2
「……なら、雄英高校に行きなさい」
『………は?』
「弔の為に、弔の目になるんだ…」
齢14の娘には、オールフォーワンの言っている意味など分からず、
思わず首を横に振った。
『嫌だ…、あそこ、ヒーローになる学校ですよね。
私はヴィランになりたいの!
それに、弔くんのそばから離れたくない…!』
「あの学校に、今度オールマイトが、教員として配属される…。」
『……!』
「やはり君は頭がいい……
私の言っている意味が分かるだろう?」
『……オールマイトを、雄英で監視しろと?』
「そうだ、そして、襲撃に備えて潜伏してほしい」
『………』
理解はしたが、死柄木と離れることを思うと、素直に首を縦にふれなかった…。
押し黙る彼女に、オールフォーワンはさらに言葉を続ける。
「君と弔は、まだ番になれていないようだな」
『え……?』
「首の噛み跡が、直りつつある」
『ウソ……でも、確かに噛んだんです!
それに、弔くんの血液検査も、アルファが出たって!』
くるみは首筋のミミズ腫れを指でなぞりながら、焦った。
確かにそこにあったはずの噛み跡は、確実に治癒に向かっている
「その若さなら知らなくても仕方あるまい…
番の誓約は、性交渉中でないと意味が無いのだよ」
言われて、くるみは思い返し、愕然とした。
確かに、死柄木が噛んだ時、まだ挿入はされていなかった……
『そんな…』
「だが、それでいい。もう少し待つんだ」
そう言って、オールフォーワンが差し出したのは雄英の願書請求の紙だった