第30章 I am talking about our past 2
「お父さんはどうなったの?」
トガの問いかけに、くるみは肩をすくめた。
『知らない、死んだんじゃない?』
くるみは過去の自分を捨て、新しい戸籍と、新しい自分で人生をやり直すことにした。
『普通』じゃない自分を、抑圧しないで済む、自由な人生を
そんなある日、くるみはオールフォーワンに呼び出された。
死柄木無しで、オールフォーワンと話すのはこの時が初めてで、
やけに緊張したと、くるみは言う。
「君のいた中学は名門校だったようだね」
『ええ…まぁ…』
くるみは、転校で処理されたはずの前校を思い出す。
塾にいくつもの習い事、門限はそれらを終えてすぐの8時、ということもあり、
遊びにも行けず……いじめられて居たわけではないが、友人の一人もできなかった。
誰も彼女と連絡が取れなくても心配などしない。
思い出すと不快感が胸を包み、くるみは眉をしかめた。
「君の偏差値は?」
『80です…最期のテストの結果なので、何ヶ月も前ですけど』
オールフォーワンは、感心したように両手を叩くと、少し前のめりになって、くるみの顔を覗き込む様な体制になった。
「君は……弔の為に死ねるかね?」
『はい』
即答する彼女に満足したのか、オールフォーワンは口元をニヤリと歪める