第29章 I am talking about our past
「あぁ…」
死柄木は、くるみをベッドに押し込み
夢中になって腰を落とした。
乱暴な扱いにも関わらず、その手はくるみを傷つけないよう、五指で触れることはない。
ぐちゃぐちゃと荒々しい水音。
くるみの喘ぎ声と、死柄木の息遣いが、電車の音に掻き消えてまた響いた。
『だめっ♡なんか…体が…っあ゛』
奥を突かれる度に、大きく何かが膨れあがって弾けつづける。
肉を打ち付け合う単純なはずの行為に、脳の、体の、何もかもがショートして使い物にならない。
くるみは体を震わせながら、シーツと枕を握り抱いて、全ての思考を子宮に集中させる…
『弔…くん…!私…わたし…っ♡』
くるみは首を死柄木の方に回して、その長い前髪の奥を見つめた。
体を揺らすたびにチラチラと見え隠れする野獣の赤目がこちらを焼き焦がすかのように見つめている。
「わかってる、心配しなくても…っーーーーーー。」
死柄木は体をグンッと沈めた。
「ハッ…、ヤバ…出す…射精する…オイ、もっと腰上げろ…一番奥でっ」
死柄木が腰を四指で掴み引き上げると、反動で、くるみの顔はさらに枕に沈む
枕でくぐもった声
『ん゛んっ♡んーーー♡』
トロン…とした瞳は焦点を定めず
どこか遠くをながめているようだった。
「うあ゛っ………」
死柄木の指先がさらに深くくるみに埋まる…
そして、バサっとくるみの首横に死柄木の頭が倒れ込んできた。