第28章 I am a Villain
「だって…君、「私、ヒーローになりたいんです」って
「私は爆豪くんのことが好きなんだ」って…そう言ってたじゃないか!!」
次に叫んだのは緑谷だった
怒りのあまり、体が薄らと緑色の光に包まれている。
戦闘を良しとしない飯田からすれば、緑谷の個性発動を止めなければいけない状態であったが、あまりの状況に動くことも出来ない。
『うん、確かに言ったね
でもさ、1つ違う。
私、一度も『私』なんて言ってないよ…?』
緑谷はその言葉に、今までのくるみとの会話を思い出す…。
確かにその言葉先には自身を指し示す主語は存在…していない。
「………そんな屁理屈…通じるわけないだろ!!!」
『怒らないでよ、デクくん。』
くるみは指先で器用に死体を操りヒーローと対戦させながら、めんどくさそうに溜息を吐く。
ヒーロー達は、【ヒーロー】である以上、たとえ、「死体」であってもかつて一般人だった「それら」を傷つけることに躊躇している
現状、完全にくるみの優勢だ。
『あ、でも…そうね
デクくんには、ノートのお礼に
私の【本当の】個性、教えてあげようかな』
「ノート…?」
『うん、貸してくれたでしょ?
クラスメイトの個性情報がダダ漏れの…【将来のためのヒーローノート】』
緑谷は、くるみの言っている意味がわかって大きく目を見開いた。
『あれ助かったよー。
おかげで今回の奇襲、上手くいった』
「あぁ!あのリスト、役に立ちました!」
「アレ用意したのくるみかよ、スゲえな!/大したことねぇぜ」
ヒーロー達と戦いながら、くるみに声をかけるヴィラン達…