第27章 l am a hero
「すんげぇ…」
「ヒーローは俺たちなどよりもずっと早く動いていたんだ…!
さぁ、すぐに去ろう
俺たちにすべき事はない!!」
「「オールマイトの方…」かっちゃんはそっちにいるのか…」
緑谷が呟くと、八百万は
「オールマイトがいらっしゃるのなら尚更安心です!さァ早く…」
この場から一刻も早く離れようと急かした。
のだが……
「オイ!止まれ!!」
そう聞こえて、緑谷たちは立ち止まった。
が、その静止を命令する言葉は、緑谷立ちに放たれた言葉ではない。
脳無格納庫の奥からゆらりゆらり…現れた黒い影…
顔を黒い布で包み…仕立てのいいスーツをその身にまとっている。
「邪魔をして…欲しくなかったな……」
低く呟かれた声に…
一瞬で、広がる静寂………
音もなく、男の前方50メートルは全ては形を失った。
「せっかく弔が、自身で考え…
自身で導きはじめたんだ…」
ギリギリ、男の攻撃範囲外に居た緑谷達だったが、
1歩たりと、そこから動くことが出来なかった。
それどころか、振り向くことも叶わない。
(一瞬……!一秒にも満たない…!)
その男の気迫は、緑谷達に【死】を錯覚させた。
「…さて、やるか……」
それほどまでの巨悪…
その男こそ…死柄木弔の「先生」…
オールフォーワンだった。