第27章 l am a hero
「反撃に来たのは…俺たちだけじゃない
外は、あのエンデヴァーをはじめ
手練のヒーローと警察が包囲している」
オールマイトは爆豪とくるみのそばに近寄ると、二人の肩にそっと手を置いた。
「爆豪少年…縫井少女、怖かっただろうに…よく耐えた」
「こ…怖くねぇよ!ヨユーだ!」
『……』
強がる爆豪と、その腕の中で、震えるくるみ。
腕の合間から死柄木の方をおずおずと見ると、赤い瞳と目が合った。
「…何そっちから来てきてくれてんだよ…ラスボス…
仕方がない…黒霧…持ってこれるだけもってこい…!!」
「脳無か…!」
ヒーロー達の奇襲に、ヴィラン連合頼りの綱である黒霧は、脳無を転移させようとワープゲートを開こうとする…が、
「死柄木弔…脳無が、指定の場所にありません…!」
「なに…!?」
それもそのはず、林間奇襲時…八百万と泡瀬が脳無の1つに取り付けた発信機
脳無のアジトはマウントレディ、ベストジーニスト率いる壊滅部隊によって、既に制圧されている。
- - - - - - - - - - - - - -
「うへー気持ち悪い…生きてるんですか?コレ…」
マウントレディは脳無を握りしめて、うぇえっと舌を突き出した。
命令する主が居なくては、脳無は無抵抗に捕まってくれた。
「こんな楽な仕事でいいんですかねぇ?オールマイトの方に行くべきだったんじゃないですか?」
ベストジーニストの繊維によって、次々に縛り上げられる脳無達。
「難易度と重要性は切り離して考えろ新人。
機動隊、すぐに移動式牢を!」
テキパキと、進められていく脳無確保…
そのプロヒーロー達の姿を壁越しに見つめ、安堵の息を吐くのは
ここに居てはいけないはずの五人…
緑谷、八百万、飯田、切島、轟。
八百万の発信機を辿り、ここまで爆豪とくるみ救出のためにやって来ていた