第27章 l am a hero
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「平和だの…正義だの…
あやふやなもんでフタをされた、この掃き溜めを…
ぶっ壊す…
そのためにオールマイトを取り除く…」
脳無も召喚できないとあって、完全に【詰み】だ。
シンリンカムイの蔦に拘束された仲間たち…
そして爆豪とくるみを見渡しながら、死柄木弔は唸る。
「仲間も運命も手の中だ…ふざけるな…ここからなんだよ…」
(こうなってしまえば、一旦引く…ゲームオーバーだ…)
死柄木は、黒霧でここにいるヴィラン達をシンリンカムイ諸共ワープさせる手段をとることに思いついた。
「黒霧…!」
だが、黒霧が、ワープゲートを開こうとした瞬間
「うっ…!」
黒霧は小さく呻き声をあげて、ガクリと項垂れた。
「まさか…!殺したの!?」
「違う、中を少々弄って気絶してもらったのだよ」
解説するのはプロヒーローエッジショット。
体を細く針のように伸ばし、唯一実態のある首元のツボを操作したようだ。
頼みの綱のワープゲートも失い、死柄木は打ち震える…。
「もう逃げ場ァねぇってことよ
なァ死柄木…聞きてぇんだがお前さんのボスはどこにいる…」
「……………………………」
「【奴】はどこにいる 死柄木!!」
追い詰められた死柄木弔はガクガク震えながら、オールマイトを睨みつけた。
恐怖ではない、
これは……
「お前が………!!嫌いだ……!!!!」
嫌悪
憎悪
嫌忌
その想いが通じたかのように、死柄木の背後から現れた脳無
ドプッ!と粘着質な音を立てて、黒い泉から湧き出るように現れたソレは次々と脳無を送り込んでくる。