第27章 l am a hero
爆豪のくるみの肩を握る力が強くなる。
目の前の男が、ラスボスだと思っていた…
だが、そのもっと奥に感じるさらなる巨悪
くるみを逃し、さらに自分も助かる算段…
否、もうこうなって仕舞えば、くるみだけでも助けたいという思いが脳を支配する。
そんな思いを感じ取ったのか、くるみはキュッと爆豪の服を握った。
その指先が微かに震えているのを感じた爆豪は、その手の上に手を重ね、安心させるように包み込む
(大丈夫だ、お前は俺が護る)
そう言いたげな視線に、くるみは首を横に振った。
と、その時……
バーの分厚い木の扉がコンコンと音を立てる。
「どぉもーーピザーラ神野店でーす」
緊迫する空気感をぶち壊す明るい声、
ヴィラン達も顔を見合わせ「おい、誰だよピザ頼んだの」と言いたげな顔をする。
が、そんな間の抜けた困惑も、一瞬で吹き飛ばされた。
そう、文字通り吹き飛ばされたのだ。
ガラガラ…と音を立てて崩れ落ちる壁、突き出された拳は平和の象徴…
「私達が……来た!」
「オールマイト…!」
突然現れたヒーローに、ヴィランは対戦しようと武器を構えるが、シンリンカムイの木蔦が体に巻き付き、動きを封じる。
「木か…そんなもん火で…!」
荼毘が、その木を燃やそうと火種を生み出したところを
グラントリノの一蹴りが、荼毘を気絶させ、それを阻んだ。