第27章 l am a hero
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翌朝、ゾロゾロとBAR店内に入ってきたヴィラン達…
死柄木は、睨みつけてくる爆豪を見下ろしながら、バーカウンターに腰掛けた。
「…そうだな、拘束もあんまりだよな
おい、トゥワイス手錠外せ」
「だけどよ!外したら絶対抵抗するぞコイツ!」
言葉と行動が伴わないトゥワイスがガチャガチャと手枷を外す。
「いいんだよ…これはスカウトだ。
対等じゃないとダメだろ?」
爆豪は軽くなった腕を振りながら、死柄木を睨みつけると、床にへたりこんだままのくるみを引き寄せたと同時、
死柄木の顔面に向かって爆破を放つ
警戒する母猫のように、くるみを抱き包んで唸る爆豪に、アジトの空気は緊迫した
(死柄木弔…怒ってはいけません…)
子供っぽい性格の死柄木を案じた黒霧、
宥(なだ)めようと二人の合間に入ろうとしたが、死柄木はゆらりと揺れ、爆破と同時に床に落ちた顔を覆う手を拾い上げた。
「手を出すなよ……おまえら」
今にも爆豪と対戦しようと武器を抜く面々に静かに口を開く
「こいつは…大切な駒だ…」
顔に手の平を装着しながら呟かれる言葉。
「一晩考えたら、気も変わると思ってた…
その女の命が大事だろ…?
この場じゃ君らが部が悪い…少しは耳を傾けてほしかったなぁ…」
「ねぇわ…
俺はこいつに誓ったんだよ……
こいつを…くるみとの日常を護れるヒーローになる…
そこはもう…変わらねぇ!」
「その女に…ねぇ……」
1歩も引く気のなさそうな爆豪に、破壊衝動を起こさず、静かに唸る死柄木
そんな精神的に成長した愛弟子を、画面越しに満足げに見つめる影…
その影へと繋がるカメラに向かって、死柄木はズイ…と手を伸ばす
「先生…力を貸せ…」
《良い判断…だよ…死柄木弔…》