第26章 I am a ○○
「あいつのアレ(ぬいぐるみ)は全部手作りだ…!
お前のソレ、俺のも…
見間違えるはずがねェだろ!」
くるみ本人がそこに居るも同然だ、と爆豪は唸る。
(昨日も今日も連絡が取れねぇと思ったら…
電波のせいじゃねぇってことかよ…!)
言い争う2人の後から、聞こえてきた轟音に、2人は一度(ひとたび)争いを辞める
暗闇から飛び出してきたのは、緑谷を背負った障子
その後を木々を薙ぎ倒しながら追ってきたのは、いつもの何十倍にも大きさを増したダークシャドウだった
ダークシャドーの凶暴な影爪が黒霧の背後で控えていたムーンフィッシュを容易く吹き飛ばし
凄まじい腕力に大木が弾け飛ぶ。
「「ぐがァァァァァアア!!!」」
砂塵が晴れて、ダークシャドウが次に睨みつけたのは爆豪と轟…
さっきまで目の前に立っていたはずの黒霧はいつの間にか姿を消していた
「ダメだ…ア…僕の肉面だ…ア゛…」
声を上げると、それに反応したダークシャドウに体を締め上げられ、ムーンフィッシュの骨はミシミシと嫌な音を立てる。
「「強請ルナ……三下!!」」
動かなくなった四肢は木の幹へと投げ飛ばされ、歯刃は脆くも砕け散った。
息を切らせた障子が、轟達に向かって叫んだ
「闇で凶暴化している! 轟、爆豪!どちでもいい、光を! 早く──」
「「アバレ……タリンゾォ……!!」」
地鳴りのような咆哮を上げ、未だ怒り狂うダークシャドウだったが…
「ひゃんっ!」
一気に距離を詰めた爆豪の爆破と、轟の右の炎に目を眩ませたダークシャドウは常闇の背後に逃げ返り、
その身をいつものサイズに縮ませ子犬のように吼えた