第26章 I am a ○○
「なっ……」
爆豪は言葉を失い、息をヒュッと飲み込んだ…
黒霧が見せてきたのは、見慣れたキーホルダー
ピンク色の柔らかな毛並み、目元に嵌められた灰色のビーズ…その半身には、べっとりとこびりついて固まった
血痕……
(どういう…こと、だ……)
爆豪は焦った
どうしてくるみの存在が出てくるのか。
頭の中に最悪の状況がチラついて額に汗が滲み、頬を伝って地面に落ちた…
何故、敵がそれを持ってる?
なんで敵が、俺とアイツの関係を知ってる……
ソレを、敵が持っている訳が…ねぇ…。
はずなのに……
「彼女は我らがヴィラン連合の手中にあります──」
「てっ、めぇ……!!」
爆豪の頬がピクリと反応を示したのを、黒霧は見逃さなかった。
「大変心苦しいのですが……」
「何しやがった!!!」
「落ち着け爆豪!」
激高し、飛び掛かろうと前に出た爆豪だが、轟が立ち上げた氷壁に阻まれ足を止める。
「邪魔してんじゃねぇ半分野郎が!!」
「一旦落ち着け!爆豪!罠だったらどうする!!」
苛立つ爆豪に、轟が「本人を見るまで信じるな」と珍しく声を荒げて叫んだ