第25章 I am your love
マンダレイが遠くの方を指さして、こちらを向く。
「ここらいったいは私達の所有地なんだけどね、
で、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね」
「「「遠!!」」」
先に見える山小屋は、親指の先くらいの大きさしか見えない。
出てきた疑問は皆同じ。
「え、じゃなんでこんな半端な所に?」
「これってもしかして……」
「いやいや……」
「戻ろうか…な?早く」
「そうだな…!そうすっか」
よくない可能性を察した僕達は、ジリジリとバスに向かって後退する。
「今は午前9時30分早ければ12時前後かしら?」
低く呟かれた言葉に、ヒヤッとした。
「ダメだ……
バスに戻れ!!早く!!」
誰かの叫び声と同時に、足元の砂がぐにゃりと動く。
自然と持ち上がる体。
相澤先生と目が合った気がした。
「悪いが諸君合宿はもう、始まっている」
「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」」
突然現れた砂の壁が、バスの前を塞ぎ道を阻んで、その壁がこちら側に津波のように波を打ってきた。
吹き飛ばされた崖下に向かって、マンダレイさんの声が響く。
「おーい!
所有地につき個性の使用は自由だよ!
今から3時間!
自分の足で施設までおいでませ!
この魔獣の森を抜けて!」
魔獣の森ってなんだろう。だれかが、ゲームの世界の名前みたいだって言ったけれど、そんなセリフが笑えたのは一瞬で、
突然うなり声をあげ、目の前に現れた魔獣は本当に、魔獣だった。
ワニのようにゴツゴツした岩のような皮膚。
木の幹ほどある太い足が四本。
モンスターズハンターでよく見るような魔獣が目の前で峰田くんに襲いかかってきた。
「なんだよこれ!」
僕達の合宿はもう始まっている。
相澤先生の言葉を頭の中で復唱して、僕は魔獣に向かって飛びかかった。