第25章 I am your love
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次々に埋まっていくバスの座席、僕は窓側の席で外を眺めていると、隣に誰かが座って顔を上げた。
「ひっ!かっちゃん!?」
隣に座ってきたのはかっちゃんで、僕を睨みつけると何も言わずに前を向いた。
「緑谷ちゃんの隣に座るなんて珍しいわね、爆豪ちゃん」
「うっせぇ黙れ」
通路を挟んで隣の蛙吹さんの声掛けに、かっちゃんは吠えるだけで、席は動こうとしない。
バスが動き始めると、騒ぎ始める車内の雑多に紛れるように
かっちゃんが独り言のように呟く
「テメェの親、ベータとオメガだっただろ…」
「うん…お母さんがオメガだよ…」
かっちゃんと縫井さんと一緒だね。
そう言おうと思った言葉は、飲み込んだ
「どうなんだ」
「どうって…そりゃ、
お父さんずっと海外だし…お母さんは、ヒートの時はすごく辛かったと思うけど…」
「……」
かっちゃんが無言なのを見て、
かっちゃんが僕の話を聞くために隣に座ったのだと確信した。
なら、僕が彼に言ってあげれることはこれしかないと、口を開く
「でも、お母さんはお父さんのこと好きだから後悔はないっていつも言ってるよ。」
「そーかよ」