第3章 I am general course
「あいつって、どんなやつ?」
心操の問いかけに、くるみは顔を煌めかした。
聞きたい?聞きたい?と喜びでしっぽを振る犬のように、身を乗り出す。
『あのね、すっごく巨悪な悪人面なの♡』
くるみがそこまで言ったところで、エミリがくるみの口元を塞いだ。
「ごめん、この子…ちょっと変だからさ
気になるなら自分で見たほうがいいと思うよ?」
『ふぐぐ…!んぐうむぐぐう!(なんで…!話させてよぉ!)』
「……あぁ、そうする」
心操がそう言ってくるみから視線をそらすと、くるみは機嫌が悪そうにエミリを見つめた。
『なんでぇ、せっかく爆豪くんのかっこよさを教えてあげようとしてたのに』
「だって、それほぼ悪口でしょ」
はははっと笑うエミリに、レイナは「確かに悪人っぽい顔してるけどねぇ〜」と付け足した。
『ツンツンしてるのがすっごくかっこいいの♡
ハリネズミみたいでかわいい♡』
くるみはふにゃん、とした顔で笑った。
蕩けた水飴のような柔らかい甘みのある笑顔
((くるみをフる男って…どんなのだよ))
そう思ったC組男子群は、心操に声をかける。
「お前、今日偵察いくのか?
なら俺も行こうかな」
「俺も…。」
ーーーという経緯で、放課後。
A組のクラス前には溢れかえる人だかりができていた。
ドアの前を埋め尽くす人波に行く手を阻まれた麗日は
「何ごとだぁ!?」
と驚声をあげた。
その場の奥の奥には、くるみとエミリ、レイナも偵察に来ていた。
エミリは純粋に敵情視察。レイナは良い男を見つけたくて。
そしてくるみは『爆豪くん見れるかもだからついて行くー♡』と1人だけ趣旨の違うことを言っていた。