第23章 I am a winner
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あんなことがあった後でも、かっちゃんと僕の距離感は変わらなかった。
秘密を知ったことで、確かに見る目は変わったけれど、それは悪い方にではなくて、良い方にだ
「林間合宿…
俺、水着持ってねぇんだけど買わねぇとなー」
荷物をまとめるかっちゃんを見ていたら、上鳴くんに話しかけられ横を向く
「あ、僕も色々持ってないものあるかも…」
補修メンバーも林間合宿に参加できる事になって、芦戸さんと切島くんが小躍りをしている。
「水着とか登山靴とかね」
「でもぶっちゃけこういうものって、どこで揃えたらいいかわかんなくね?」
上鳴くんは手元に林間合宿のしおりを持って、うーん…と首を捻った。
「確かに…」
「ねーねー!せっかく明日休みだし、みんなで買い物行かなーい?」
面々が悩ましげな顔をして居ると、葉隠さんが明るい声で提案してきた。
「いいねいいね!」
「何気そういうの初じゃね?!」
「うん!」
クラスのほぼ全員が参加を表明する中、かっちゃんが教室から去ろうとするのを、切島くんが止めた。
「おい!爆豪お前も来いよ!」
「行ってたまるか」
即答で断られる切島くんを見て、僕は苦笑いをしながら、すぐそばにいる轟君に声をかけた。
「ね、轟くんはこれそう?」
「……わりぃ、休みの日は見舞いがある」
「そっか」
「おいおい!ノリわりぃぞ!空気読めよ」
峰田くんが喚いたけれど、轟くんは「わりぃ」とだけ言って教室から出ていってしまう。
「ならならー明日!1時に木椰子区ショッピングモール入口に集合ね!」
「オッケー!」
「うん!」
こうして決まった、買出しに、今まで友達のいなかった僕は心ときめかせていた。
1週間の強化合宿まで、あと10日だ。