第22章 I am not knowing
どうにか立ち上がるが、篭手を持ち上げる気力もないのか、爆豪は両腕をだらりと下げる。
「アルファ…って…
君もアルファじゃないか…!」
緑谷は爆豪の後から叫ぶがその声は届いていないのか、爆豪が返事をすることはなく
ただ一心に歯を食いしばりオールマイトを睨みつける。
そんな爆豪の様子を見たオールマイトは、心の中である仮説を立てていた。
(そうか…爆豪少年…もしや君は…)
爆豪少年は以前から、オメガバースに基づく発言が多かった。
ーーー「クソオメガ」
ーーー「俺は選ばれしアルファだ」
それは今に始まったことではない。
が、先程の発言…
ーーー「アルファに勝たねぇと意味ねんだ」
この発言は、アルファの中でも確固たる1位をとるという意味にも取れるが…
自分もアルファであるなら、こちらのアルファ性にこだわる必要も無いのでは…?
緑谷少年に対する経った今の「オメガ」発言…それを汲むに、オメガではない…
いや、あれだけの成績を残していてオメガというのはなかなか想像がつかないが…
もしかすれば、爆豪少年はベータなのでは…?
この年の少年少女ならば、自分のバースが足枷になるのも事実…。だが、アルファ以外の性は、それを乗り越えて初めて強くなる。
もし、爆豪少年が、己のバースに縛られているとすれば、それから抜け出ない限り…爆豪少年に成長は無い。