第22章 I am not knowing
(なんで…俺がデクなんかと…)
爆豪は、ニトロを貯めるために篭手を付けたまま時間いっぱいランニングをすることにした。
相手はあのオールマイト…
一筋縄で勝てるとは思っていない。
「だからって…負ける気もねぇ…
勝つだけだ
それが、オールマイト相手だったとしても…変わらねぇ」
走ること1時間、篭手にニトロをパンパンに溜め込み足を止める
「コレで、最大火力が2回分は打てるか…」
重みを増した篭手を腕に、時計を見れば
そろそろ試験時間だ。
ペアの相手を思い浮かべて舌打ちをする。
よりにもよって、デクかよ…
最近、調子がいいせいか、やけに神経逆撫でてきやがる。
それに…
ーーー番になる以外、オメガを救う方法は無い…!
あの言葉がいつもいつもいつも頭をよぎって、俺がくるみと居ることを否定してくる。
「チッ…」
また生まれる胸の不安…。
解消されるのは、くるみのそばにいる時だけだ。
後は常に、アルファに奪われる不安に襲われている。
今の俺の世界は、あいつが居る…それが全てで
もっといえば、今は、あいつが居ない…それが全てだ。
演習場の入り口に着くと、情けねぇ顔でこっちを見てくるデク。
オールマイト相手だ、クソナードの言いてぇことなんかクソでもわかる。
「逃げの一手」こいつが提案してくるとすればそれだろう。
何で逃げねぇといけねんだ。
オールマイトだろうが、誰だろうが関係ねぇ
俺は真っ向から戦う。
正面からぶっ潰す。
完膚なきまでの勝利を、今度こそ……
じゃねぇと、また、ベータを理由に…自分を嫌いになりそうになる。
オールマイトは確かアルファだ。
世界一強えぇ、アルファに勝ちゃ…少しは気持ちが落ち着く気がすんだよ…。