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【ヒロアカ】アイアム!【オメガバ】

第21章 I am coward




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爆豪の荷物が、次々に部屋に持ち込まれて
1人だった部屋が2人のものになった。

2人が使うには、風呂もベッドも、なにもかもがちいさかったけれど
寄り添うような距離感
足を伸ばせばぶつかる距離感。

今の2人にはそれが丁度よかった

朝昼晩、すべての時間を共有し、
言葉通り片時たりとも離れない。







「くるみ、よかったね」
そう言って笑う2人の友人。

表向きには、高校を卒業するまで番うのは待つと言っている。
高校を卒業したら結婚するんだ、と。

実際、そう考えるカップルは居るには居る。

だがそれは、オメガが薬が聞きやすい場合。またはヒートが弱い場合に限り、
くるみのように強く、薬の聞かないオメガの場合は即効で番うことが大半だ。



『うん、すっごく幸せ!』
くるみは両手のひらで頬を煽ってはにゃっと笑顔を蕩けさせる。


「執念だよね…、粘り勝ち?」
「いや、案外最初っから好きだったんじゃない?」

レイナはリップを練り直した唇で、ため息をつく


「いいなー、運命。番。
ベータもそういうロマンチックなのほしいよ」

「まーねー」

ベータ2人を目の前に、くるみはまた作り笑いをする。

『運命は誰にでもあると思うよ?』

「またまた!運命が見つかったからってー」
レイナの腕が、くるみの首に絡まって締めるようにじゃれ合う。

「でもよかったよ、本当に幸せそうだもん」
『えへへ、ありがと。』


「私ら帰るけど、くるみは彼氏待つんでしょ?」
『うん』

「じゃ、まーたあしたー」
『バイバイ』


2人も帰ると、空っぽになった教室の中で、くるみはカバンからソーイングセットを取り出した。

広げた布は、黒とオレンジ。



『彼氏…か』

糸を切る音が、パチン、と教室内に響いた。

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