第20章 I am not so bad
『え………?』
「だから、轟と番え。」
落ち着いた声で告げられる言葉に、くるみは爆豪のTシャツを掴む。
『な…なん…で…?
なんでそんな事…』
「…ヒートの時は
フェロモンに当てられてヤっちまったけど、今は後悔してんだ。
つーかお前、ウゼェ。
別に俺のこと好きとか、ねぇだろ…、
言っちまった手前引っ込みつかねぇだけだろ?
鬱陶しいんだよ…
アルファでもねぇのに、俺のことが好きだとか、ねぇだろ…」
告げられる言葉に、くるみの手は震えていく…。
爆豪は一度たりともくるみの方を向くことなく、淡々と言葉を告げた。
これだけの言葉を告げても、離れない体に、爆豪は表情を歪める。
「離れろよ……」
爆豪の表情は、次第に険しくなっていく
「キモいんだよ、離れろや」
やっと離れた指先が、ボタボタと降って来た水滴に濡れた。
『ごめ…んなさ……
気持ち悪くてごめん…
好きになってごめん…
迷惑…かけないから、だから、捨てない…で…』
くるみは目からボロボロとこぼれ落ちる涙を手の甲で拭うが、拭っても拭ってもこぼれ落ちる涙に、爆豪は自分の手を握りしめる。
『離れたくないよ…爆豪くん…』
(俺と…離れなかったら、テメェが辛れえんだろうが…)
泣きじゃくるくるみに、爆豪は低く呟いた。
「いつか…お前はアルファと結ばれる
お前の運命は俺じゃねぇ」
『ちがう…爆豪くん
オメガとか、アルファとかベータとか、
関係ない…
なんでわかってくれないの…なんで?』
「わかるわけねぇだろ!
お前こそわかってねぇ……俺がお前のことがわかんねぇのと同じで、お前だって俺のこと分かってねぇ」