第20章 I am not so bad
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【明日は、駅前の銅像前に11時集合でよろしく!】
緑谷からのLINEを確認しながら、くるみは銅像前に来た。
全く意味のわからないモチーフ。
現代アートとは総じてなかなか理解し難いのはなぜだろう。
時計は10:55分を示しているが、緑谷の姿は周囲に見えず、くるみはぼんやりとその謎のモチーフを見つめていた。
謎のモチーフの名前を示す銅プレートは【真実の穴】
何の説明もなされていないのが、斬新だとでも言いたげに、製造年日だけが書かれている。
つきたてのお餅が置かれただけのようなもっちりとした形。
トンネル型の穴が緩やかに空いているが、これが【真実の穴】なのだろうか。
暇つぶしがてらに眺めていたくるみは、なんの気なしに、その穴を覗き込んだ。
『ん?……』
見えるはずのないものが見えて、くるみは穴から目をそらす。
もう一度、恐る恐るのぞいて見ると、やっぱりよく見知った顔と目があった。
『いやいや…え?そう言う仕組み?』
顔を上げて、銅像越しに反対側を覗き込むが、やっぱり誰もいない。