第19章 I am a boy
(なんだよ…コレ…
番になれねぇって…こんなに不安なのかよ)
目の前のオメガ(くるみ)。
いつでも俺のモンにできるって、思っていた。
俺が噛んでやるって言えば、こいつは喜んで首元を差し出す…
その自信があった。
それが一瞬で消えた。
誰のせいでもねぇ、俺がベータだってせいで。
俺がコイツの運命じゃねぇ、となると
コイツの運命はどこかに居るはずだ…。
もしそれが、轟だったら…?
いや、それはねぇ…
目が合った瞬間惹かれ合い、必ず結ばれる。
そんな伝説を信じるとすれば、轟にとってはそうであったとしても、くるみにとっては違げぇ。
だが、轟じゃなかったとしても、もし、くるみが【運命】と出会ったら…?
(なんで俺は…アルファじゃねぇんだ…)
そんなこと、言ったって仕方がない。
不毛などこにもぶつけようのない怒りが胸を襲う。
『爆豪くん…痛いよ…』
くるみは肩を掴まれたまま静かにつぶやいた。