第19章 I am a boy

轟は気がついたら、くるみの腕を掴んで壁に押し込んでいた。

「ちげぇ…俺は…、俺はお前と…」
「なにしてんだテメェ」




言いかけた言葉を飲み込んで振り帰ると、爆豪が2人ににズカズカ歩み寄ってくる。

『爆豪…くん』
くるみを轟から引き剥がし、腕の中に収めると、動物じみた視線で威嚇してきた。

「コイツに何した」

『な、何もされてないよ！？』
くるみが爆豪をなだめるように訴える、けれど爆豪はこちらを睨んだままで、轟を警戒しているようだ。

(このままじゃ、話にならねぇな…)
轟は何も言わずにその場から立ち去る、爆豪は廊下に消えていく人影を未だ睨みつけながら、
立ち去ったのを確認してくるみを見下ろした。


「…何してた」

『んっと…お話…』

「ただのお話には見えなかったけどな

アレか…やっぱりアイツに番いになってもらおうって腹か？」

『ち！違うよ！！！』

くるみは今にも泣き出しそうな顔で爆豪を見上げる。
が、その爆豪の顔がどこか悔しげで、思わず息を飲みこんだ。


『前も言ったけど…轟くんはお友達なの…
ずっと爆豪くんとのこと、相談乗って貰ってた…』

「は？」

『どうしたら爆豪くんに振り向いてもらえるかとか…
授業中の爆豪くんの様子とか…教えてくれてたの』

真っ赤になって白状するくるみに、爆豪は毒気を抜かれた表情を見せる。

『だから…これからも、友達で居たい…
爆豪くんと両想いになれたの、轟くんとデクくんのおかげだから』


ダメ？と首をかしげるくるみに、爆豪はどこか納得いっていない表情を見せた

緑谷はともかく、轟はアルファだ。
くるみに好意を寄せているのも一目瞭然…。

それ以前に、番になれる可能性のあるアルファ(轟)への嫉妬心だったのかもしれない。