第3章 I am general course
パトカーのサイレン音が校舎前に響いたのは、それから約20分後の話で…
くるみはエミリの肩越しに、警察車両が集まってくるのを見つめた。
『ヴィラン…捕まったのかな…』
「わかんない…でも、大丈夫だって!
だってここ雄英だよ?オールマイトも居るんだし」
『うん…大丈夫
爆豪くんのことは…そんなに心配してないんだ…』
強いし…と笑った次の瞬間くるみは窓際に駆け寄り目を凝らす。
『あの…バス』
呟いたと同時に階段を駆け下りて
校舎前に現れたバスから、順に降りてきた生徒の1人に駆け寄った。
『轟くん…!』
「くるみ…」
くるみは轟の前で立ち止まると、目に涙を溜めて見上げる。
『ヴィランは…?捕まったの?』
「いや、ワープ個性の奴がいて…逃げられた」
『そっか…でも、みんな大丈夫だったんだね…!よかった!』
くるみの安心した声に、轟は胸の中がじんわりと熱くなるのを感じた
今にもこぼれ落ちそうな涙を拭ってやりたい…
そう思って手を伸ばしたが、くるみの視線が自分の肩から後ろに流れ…
それと同時にダムが崩壊したかのように涙が零れ落ちたのを見て
轟はくるみの視線を辿って振り返った。
くるみは何も言わずに、その視線の先…爆豪の元へと駆け寄ると、まだバスの階段を降りきっていない男の胸へと飛びついて抱きしめる。
「あ゛!?んでココに…」
『よかった…
爆豪くん……生きてた…』
「「おぉー…」」と興奮するクラスメイト達の視線も気にせず、くるみはさらに腕の力を強める。
『爆豪くんが…死んじゃったらって……おもったら…』
爆豪は、くるみの体が小刻みに震えているのを感じて何も言わずに肩に手を置いた。
「んな簡単に死ぬかよ…バカ女
いいから泣きやめ、ウゼェから」
くるみがやっと持ち上げた顔を見て爆豪は
「すげーブスだな」と少し笑い、目元を乱暴に拭いてやった
そんな二人を、轟は遠巻きに
さっき自分の拭えなかった涙を、爆豪がやすやすとして見せたことを…どこか納得いかない表情で見つめていた。