第19章 I am a boy
(気付いてももらえねぇのか…。)
俺の気持ちは、このままヒートの事故として、くるみの中で処理されて
あの行為さえもなかった事になんのか…?
一方的に愛しただけだ…。
でも俺にとっては初めてだった、ヒートのせいじゃねぇ…くるみを好きだったからだ。
けれどくるみの中では、犬に噛まれたようなもので…このまま消えてっちまうのか?
そう思うと、床が崩れていくような感覚に襲われた。
そんな、ただでさえどん底の気持ちをくるみの柔らかな声がさらに底へと突き落とす。
『気にしてない…から。
アルファがオメガフェロモンでそうなるのは分かってるし……あれはもう、事故だよ…。
こっちの不注意だし、本当に気にしないでね?
むしろ、ごめんなさい…』
そしてさらに、深いところへ
『だから、これからも友達でいて欲しいの…』
笑う彼女は、誰が見ても天使だ。
なのになんでだろう?
俺の目には、悪魔に見えた。
俺の心をかき乱して、揺さぶって、引き裂く…。
(やっぱり…極悪じゃねぇか…。)